「太陽がいっぱい」名優アラン・ドロンさんを偲んで

太陽がいっぱいタイトル

こんにちは、皆さん! 2024年8月18日、フランスの名優アラン・ドロンさんが88歳でこの世を去りました。多くのファンにとって悲しい出来事です。
ドロンさんは、その美貌と演技力で世界中の観客を魅了し、特に1960年の映画「太陽がいっぱい」では、彼の才能が遺憾なく発揮されました。この映画は、完全犯罪を企てる青年トム・リプリーを演じたアラン・ドロンさんの代表作であり、彼のキャリアを一躍スターダムに押し上げる作品となりました。
今回は、アラン・ドロンさんへの追悼の意を込めて「太陽がいっぱい」の魅力と彼が出演した他の作品を振り返ってみたいと思います。

目次

「太陽がいっぱい」ミニ情報

「太陽がいっぱい」は、1960年のフランス・イタリアのサスペンス映画です。アメリカの作家パトリシア・ハイスミス氏の小説を原作として制作されました。
太陽がいっぱいのナポリ湾付近の海を舞台に、殺害した男性になりすまし完全犯罪を企む主人公のストーリーで、彼を演じたアラン・ドロンは、この作品により世界的なスターになるきっかけを掴みました。

【スタッフ】

監督:ルネ・クレマン
脚本:ポール・ジェゴフ ルネ・クレマン
原作:パトリシア・ハイスミス
音楽:ニーノ・ロータ

【キャスト】

トム・リプリー役:アラン・ドロン
マルジュ・デュヴァル役:マリー・ラフォレ
フィリップ・グリンリーフ役:モーリス・ロネ

★YouTube「太陽がいっぱい」Pickup1

「太陽がいっぱい」ざっくりあらすじ

富豪のグリーンリーフ氏から道楽息子をアメリカへ連れ戻すよう、成功報酬5000ドルで依頼を受けたトム・リプリーは、イタリアで気ままに暮らす息子のフィリップと合流します。

しかしフィリップは帰国する気などさらさらなく、彼はトムを遊び相手と使い走りに利用することになります。

ローマで遊び呆けてモンジベッロの別荘に戻ると、フィリップの婚約者マルジュが待っていました。

ヨットのデッキ

魅力的なマルジュにトムは好意を抱きますが、一緒に暮らすうちに、自分を下僕のように蔑む傲慢なフィリップに複雑な感情を抱き始めます。

ある日のクルージングで、トムは邪魔者扱いされ、一人ボートに移され海上に放置されてしまいます。真昼の太陽さらされ熱中症の危険な状態に陥った後、ようやくヨットに引き上げられますが、トムの心情は穏やかではありません。フィリップの持てる恋人や財産への強い嫉妬心に煽られ、心の中で自身の欲望が渦巻きます。

トムは殺意を内に秘め一計を案じます。フィリップとマルジュを引き離すため、ローマで出会った女の指輪を使って二人の離間を謀ります。予想通り、フィリップとマルジュはケンカを始め、激高したマルジュはヨットを降りてしまいました。

マルジュが去った後、フィリップはトムを疑い問い詰めます。そしてトムが自分の財産を狙っていることを悟ります。しかし時既に遅く、トムは用意していたナイフでフィリップを一撃、殺害に及んだのです。
トムは死体を帆布にくるんで縛り、重りと一緒に海へ沈めてしまいます。

フィリップの失踪で警察の捜査が始まりますが、トムはパスポートを偽造しフィリップに成りすまし、銀行預金も自由に手に入れます。トムはこの種の知恵がよく働くのです。

トムはまた、自分に嫌疑がかからぬよう「遺産は愛するマルジュに」とフィリップの遺言状を偽造した一方で、マルジュを慰めながら自分に有利な状況になるよう彼女との関係を深めてゆきます。

フィリップの失踪から数週間後、マルジュとの仲も順調で、トムは太陽がいっぱいのビーチで、一人上機嫌でリラックスしていました。完全犯罪の綻びが発覚すると予想だにすることもなく・・

同じ頃、港ではヨットの売却・整備のためマルジュや親族が見守る中、ヨットの陸揚げが行われていました。引き上げられたヨットのスクリューには一本のロープが絡まっており、その先には黒い物体がつながっていました。隙間からは腐乱した手が・・唖然!

「太陽がいっぱい」見どころ・感じどころ

ヨットハーバー

フランス映画界の巨匠ルネ・クレマン監督による「太陽がいっぱい」。1960年のカンヌ国際映画祭では、その映像美と心理描写が高く評価され監督賞を受賞しました。

◆とにかく、かっこいい! アラン・ドロン  

まず見どころは、アラン・ドロン演じるトム・リプリーの存在感です。端正な容貌、今で言うイケメン。
一見普通の青年がその実、何でもこなす器用な才覚・才知を持っており、自分を蔑む者に対し、次第に密かな殺意を抱き、ついには狡猾な殺人者へと変貌してゆく姿が演じられます。
端正な顔だち・深い眼差し・知性・日焼けした体・冷酷な殺人者、どこを切り取っても若きアラン・ドロンの魅力がギラギラと、スクリーンから目が離せません。

◆このラストでサスペンス映画の名作となった!

このラストで、この映画がサスペンスの名作となったと言っても過言ではないでしょう。
ヨットの引き上げに伴い、絡まったロープにつながり死体までも引き上げられ、ここで完全犯罪が鮮やかに幕切れとなるのです。最後の最後で、視聴者が「あーっ!」と驚くシーンです。
一方、トム・リプリーは、太陽がいっぱいのビーチで、満足げにリラックスした表情を浮かべています。海の底へ沈めたはずの死体が引き上げられたとも知らずに・・

◆美しい地中海のリゾート風景が印象的・・・ 

ローマ、ナポリ、地中海の海や島など、イタリアの美しい映像も見どころです。
物語の舞台は地中海のリゾート地・モンジベッロ。青い海にヨット、白い壁の家並みや緑。
イタリアの明るく熱く輝く太陽、ポジティブな風景の中、白日の下で行われた殺人、人間の心の奥に潜む嫉妬や欲望というネガティブな面との対比が、ストーリーの大きな魅力の一つになっています。

◆スリリング・生々しい人間ドラマが浮き彫りに

「太陽がいっぱいで」描かれるのは、嫉妬と欲望に翻弄され、その果てに犯罪を犯してしまう人間の救いがたい姿です。社会的地位、金銭・財産、恋人、誰しもが求めるものですが、人として超えてはいけない一線があります。そうした意味で、本作は人間の弱さや醜さが浮き彫りにされたストーリーと言えます。
主人公の犯罪者としての機知、スリリングな展開、生々しい人間ドラマ、非情な心理描写、そうしたものが、この作品の大きな見どころとなっています。

悲しく切なくグッとくるメロディー、ニーノ・ロータによるテーマ曲がまた、そうした感情を更に盛り上げています。★YouTube「太陽がいっぱい」Pickup2

◆アラン・ドロン演じるトム・リプリーのその後

「太陽がいっぱい」の原作者パトリシア・ハイスミスは、犯罪小説において人間の光と影を探求したアメリカの作家です。「太陽がいっぱい」は、トム・リプリーを主人公とする「リプリー」シリーズの最初の作品で、その後「贋作」「アメリカの友人」と続き、いずれも映画化され、天才詐欺師の顛末が描かれたものです。

「アメリカの友人」1977年の西ドイツ・フランスの映画。
「リプリー」1999年・アメリカの映画。
こちらは「太陽がいっぱい」より原作に忠実なリメイク版で、アラン・ドロンが演じた役には、あえて冴えないキャラクターを強調する演出でマット・デイモンが起用されました。
「リプリー暴かれた贋作」2005年のアメリカ映画

世界を魅了したアランドロンさんを偲んで

ヨットと海

2024年8月18日、世界の人々を魅了したフランスの俳優、アラン・ドロンさんが亡くなりました。享年88歳とのこと。

映画「太陽がいっぱい」に主演し、一躍スターダムに乗り上げ、世界的な二枚目スターとして一世を風靡し、当時青春時代の私も大ファンでした。

その後も多くの映画やテレビドラマ、舞台でも活躍され、その端正な容貌と演技で二枚目俳優として日本でも多くの人々を魅了しました。

アランドロンさんは2017年に引退され、その後の様子はよく分かりませんでしたが、病を得て療養を続けていらしたようです。ニュースでは、フランスのご自宅でご家族に見守られながら息を引き取られたとのこと。

きっと精一杯お仕事され、ご家族にも恵まれ、お幸せな人生を送られたことと思います。
一ファンとして、心よりご冥福をお祈りしたいと思います。

【恋ひとすじに】1958年・フランスとドイツの合作映画
舞台は20世紀初頭のオーストリアのウィーン。若い将校フリッツは男爵夫人レナと密かに付き合っていましたが、歌手を志す美しい女性クリスチーヌに出会い真実の愛を育みます。ウィーンの情緒あふれる風景を背景に愛と嫉妬、決闘などドラマティックな展開が見どころです/アラン・ドロン、ロミー・シュナイダー

【山猫】1963年・イタリアとフランスの合作映画
舞台は19世紀半ば、イタリア統一戦争で国の政権を奪い合う激動の時代を描いた作品です。シチリアの名門貴族とその家族の栄光と衰退が描かれ、アラン・ドロンは公爵の甥でありながら、新しい時代を目指す義勇軍の若者として登場します/アラン・ドロン、バート・ランカスター、クラウディア・カルディナーレ

【地下室のメロディー】1963年・フランス映画
刑期を終えた老練なギャングのシャルルは、カンヌにあるカジノの地下金庫から大金を強奪する計画を立てます。若いチンピラのフランシスと組み計画を実行に移しますが、予想外の出来事が次々と起こり、計画は思わぬ方向へと進んでしまう。二大スターの共演で緊張感あふれるストーリー展開に引き付けられます/アラン・ドロン、ジャン・ギャバン

【冒険者たち】1967年・フランスとイタリアの映画
新型エンジン開発に失敗した技師、危険飛行でライセンス停止のパイロット、個展の酷評で成功の道を閉ざされた前衛彫刻家、夢破れた三人の前に“コンゴ動乱で莫大な財宝を積んだ飛行機が墜落した”との情報が入り、三人は宝探しの冒険へ旅立ちます。/アラン・ドロン、リノ・ヴァンチュラ

★ボルサリーノ・シシリアン・レッドサン・サムライ・さらば友よ。こうしてみると、殺し屋や強盗団など犯罪映画が多いですね~・・

「太陽がいっぱい」まとめ

はい、アラン・ドロンさんの代表作「太陽がいっぱい」。彼の魅力が存分に発揮された映画でした。若い頃のアラン・ドロンさん、やっぱり素敵ですね~! 最後の最後で完全犯罪が崩れ、唖然とさせられるところがミソのサスペンスでした。
半世紀以上経った現在でも色あせることなく輝き続けるアラン・ドロンの「太陽がいっぱい」サスペンス映画の名作と言えるでしょう。

素晴らしいスター俳優さんでも、私たちと同じ、いつかはこの世を旅立ち、宙に輝く本当のスターになってしまうのですね。
謹んで、アラン・ドロンさんのご冥福を祈りいたします。

★それでは、またお会いしましょう。Good Luck!

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この記事を書いた人

居所地:日本の中央山岳地域で田舎暮らし
映画・TVドラマ大好き人間
古代ロマン・スピリチュアル小説ファン
Pen name:東岳院展大
Blog nickname:福徳星人

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