こんにちは、皆さん! 「リング」このタイトルだけで背筋が凍る人も多いのではないでしょうか。
「リング」は、日本ホラー映画の金字塔として、多くの視聴者を戦慄させた作品です。
この恐怖映画は日本映画界のみならず、世界中で広く認知され、多くの視聴者を震撼させてきました。
実際にあった心霊実験や超能力による呪いの発現、その霊的な恐怖をリアルに感じさせられる映画です。
今回は、作品の持つ独特の恐怖感、背景にある不気味なメッセージや心理を再現してみました。残暑の中、ゾッとする一服の冷気を感じてみてください。
「リング」予備情報
「リング」は、鈴木光司氏の小説「リング」を原作とし、1998年に公開された日本の怪奇映画です。呪いのビデオが巻き起こす惨劇が描かれ、戦慄のジャパニーズホラー映画の先駆けとなった作品です。
中田秀夫監督の手による「女優霊」「仄暗い水の底から」に続く本作「リング」、白い着物と長い乱れ髪の恐ろしい幽霊が登場します。
【スタッフ】
監督:中田秀夫
脚本:高橋洋
原作:鈴木光司
【キャスト】
松嶋菜々子・真田広之・中谷美紀・竹内結子・佐藤仁美
「リング」ざっくりあらすじ
テレビディレクターの浅川玲子は都市伝説の取材中、見た者は1週間後に死ぬという「呪いのビデオ」と、数日前に不審な死を遂げた姪の智子と友人たちの関連に気づきます。
調査を進めると、彼らは一週間前に伊豆の貸し別荘で貸出されていた不審なビデオの映像を見て以来、不気味な無言電話や、撮影した写真の顔が歪むなど、不思議な現象が続いたといいます。
「呪いのビデオ」の存在を知った玲子は、離婚した元夫で超能力者の高山竜司に相談を持ちかけます。
竜司はそのビデオの映像を調べ、過去に伊豆大島の噴火を予知したとされる超能力者・山村志津子に関連したものであることを突きとめます。
玲子と竜司は、志津子の従兄弟である老人・山村敬に話を聞くため伊豆大島に渡ります。山村から話を聞きだそうとする際、玲子は過去の光景を幻視し、志津子の娘である山村貞子に宿る恐るべき超能力を知り、貞子こそが呪いのビデオを生み出した怨霊なのだと確信します。
二人は手がかりを探すべく、発端となった伊豆の貸し別荘に向かいます。そこで、ビデオの映像に映っていた古井戸を発見しますが、触れた瞬間、玲子は父親によって井戸に突き落とされた貞子の最期を幻視します。
玲子と竜司は死に物狂いで溜まっていた水を掻き出し井戸の底から貞子の白骨死体を見つけ出したのでした。
呪いのビデオを見てから一週間が経っていましたが、玲子に死が訪れる気配はありません。貞子を発見したことで呪いは解けたのでしょうか。いいえ・・
翌日、竜司が一人家にいると自宅のテレビが突然点灯し異様な映像が映り始めます。それは例の井戸から這い出てくる貞子の姿でした!長い前髪を振り乱し奇怪な動きでゆっくりと歩み寄って来るのです。驚きながらも映像だと思い見ていると、それはだんだん竜司の眼前に迫り、ついにはテレビの画面から這い出しきたのです!
竜司は絶叫し恐怖のあまり頓死してしまいます。
竜司の死を知った玲子は、貞子の呪いがまだ解けていないことに気づきます。しかし、竜司より前に「呪いのビデオ」を見ていた玲子は何故死を免れたのでしょうか?
その解答は・・映画のラストを見ていただくことといたしましょう・・
「リング」見どころ・感じどころ
古典的な幽霊の怨念を現代的なビデオテープに落とし込んで、ダビングで広めるというアイデアが面白いかな~「リング」は、怨霊の謎解きに迫ってゆくサスペンス&ミステリー要素を含むジャパニーズ・ホラーの金字塔とも言える作品です。
◆じわじわと這い寄る不気味さ・・
物語の冒頭は突然死事件。「このビデオを見た者は7日後に死ぬ」という都市伝説から呪いのビデオの登場により、謎解きは霊能力者の協力により進められます。
ビデオ映像は、女の幽霊のような姿が井戸から這い出して来るというものですが、ここは遠目でハッキリとは確認できません。しかし、ハッキリと掴めないところに怖さが生じ、じわじわと這い寄るような恐ろしさを感じさせるのです。
事件の調査を進めるうちに、悲惨な末路で死んだある人物に辿り着き、呪いの経路が次第に見えてきます。
この過程では直接的に恐ろしいお化けの形相が顕れるわけではないのですが、呪いという超常現象にサスペンス&ミステリー要素が加わり、この戦慄感がいつか本物に化けるのではないかという恐怖が常にまつわりついてくるので気をぬけない!
◆絶叫のクライマックスシーン!
ラストでは遂に衝撃的なシーンが描かれます。呪いの元凶である人物貞子は、長い前髪で顔を隠し白い着物を着た女という古典的な幽霊の姿で顔はハッキリ見えません。
テレビ画面の映像で井戸から這い出した貞子は、乱れた髪で顔を隠したまま奇怪な動きしながらテレビから現実の世界へと這い出してくるという凄まじい描写!
このクライマックスシーンには、私も絶叫してしまいました。この悲鳴なくして見られない衝撃的な恐怖描写で、本作「リング」が大ヒットし、ジャパニーズホラーの金字塔とまで評価されたことに納得です。
以後、続編が続々と作られました。怖いもの見たさの方はどうぞ。
らせん・リング2・リング0バースデイ・貞子3Dシリーズ。リメイク版では、韓国映画の「リング・ウィルス」、アメリカ映画版では「ザ・リング」「ザ・リング2」「ザ・リング・リバース」。
◆「リング」のモデルになった事実と人物
怨霊の代名詞になった「貞子」。実は過去にモデルになるような事件があったのです。
明治の終わり頃、超能力や心霊科学を研究する博士が、千里眼や透視能力を持つ女性たちを見出し、被験者として協力してもらい、研究や実験を行っていました。
しかしこの過程で、博士の論評は当時の学会に受け入れられず、マスコミにも批判され、ついには女性の一人は自殺、もう一人も病没亡してしまいました。
「リング」では、人物や時代設定は異なるものの、記録に残る被験者の公開実験の様子などは映画の描写に転用されているようです。
興味があれば、後述の「実際にあった降霊実験」をご覧ください。
「リング」実際にあった降霊実験
降霊術・超能力・心霊のエネルギー
降霊術とは、一般に占い目的や先祖の霊などを呼び寄せようとする魔術の一種とされ、古くは西洋の古代、バビロン、エジプト、ギリシア、ローマなどで広く行われていたようです。
近代では、アメリカやヨーロッパで裕福なブルジョアたちのサロンで「交霊会・降霊会」が盛んに行われていました。霊媒者を介して、あるいは皆でテーブルを囲み死者とのコミュニケーションを図るというものです。
日本でも古代から「口寄せ・霊媒」などの形で降霊術が用いられ、今も続いていますね。
死者の想いや怨念をこの世に呼び出そうとする試みは、シャーマンなど霊力を備えた特殊能力者により太古の昔から行われていたのです。
私も母の実家の宮城県で霊媒者を介して祖母の霊の言葉を聞いた経験があります。こなんこと言ってました。「ご飯を赤くして、ここにいるよと知らせたけど、気づいてくれなかった・・」
超能力とは、言葉を換えれば精神的・霊的なエネルギーと言えるでしょう。
近代では、本作「リング」でも描かれるように、そうした不思議な能力を科学的に検証しようとする科学者たちが活躍し始め、その流れが、現代につながっているのです。
チャネリングなども含め、哲学、宗教、精神医学など様々なジャンルで研究されています。
超能力者による千里眼事件
明治明治30年代の頃、日本では民間の心霊療法として催眠術が流行っていました。
御船千鶴子さん(当時23歳)もその一人で、人の体内を見通す不思議な能力を持つと新聞に取り上げられました。またもう一人、長尾郁子さん(当時40歳)は、災害等の予言が的中するという評判で注目されるようになっていた女性です。
東京帝国大学の福来友吉(1869~1952)博士は、こうした特殊能力を持つ者たちを被験者として、千里眼・透視・念写など超心理学に関する実験・研究を行っていました。
科学者やジャーナリストを集め公開実験が行なわれ、一時は脚光を浴びるのですが、能力の真偽に疑惑が残され、科学者たちの反応は冷ややかなものでした。
そのうち、当代一流の物理学者が検証の結果、これは手品だと結論付けたため、一転マスコミから攻撃され、イカサマ・ペテン師など世間からも非難されるようになってしまいました。
結局、御船千鶴子さんは故郷へ帰省後すぐに自らの命を絶ってしまい、その後を追うように長尾郁子さんも病死してしまったのです。
しかしその後も、福来友吉博士は公開実験こそ行わないものの、高橋貞子さんによる念写や、犯罪捜査でも実力を持つ心霊研究家の三田光一氏といった特殊能力者たちと親交を持ち、大日本心霊研究所を設立し心霊・精神研究に傾注してゆきました。
著作に「心霊と神秘世界」他、研究論文も多数残されています。
心霊科学研究の第一人者・浅野和三郎氏
福来友吉氏とほぼ同年代、東京帝国大学英文学科で学んだ浅野和三郎氏(1874~1937)もまた、日本の心霊研究者の一人でした。
当初、英文学者として活躍していましたが、三峰山の女行者の祈祷により病が治癒するなどの現象を目の当たりにし、心霊の世界に目覚め、出口王仁三郎率いる大本教で「鎮魂帰神」の習熟、機関紙「神霊界」の執筆に傾注しました。
人心を惑わす宗教団体として大本教が弾圧された後、教団を離脱し「心霊科学研究会」を創設し、日本各地に心霊主義(スピリチュアリズム)の思想を啓蒙してゆきました。
作家、文学者、英米文学研究者、翻訳家、心霊研究・スピリチュアリズムの啓蒙活動家として知られ、著書に「霊界通信」「小桜姫物語」他多数を著わしました。
霊界のことや、現界との関わりなどが詳細に書かれており、とても興味深い内容です。信じるか信じないかは、個々の知識や霊格により判断されるものとなるでしょう。
「リング」まとめ
はい、猛暑の夏の終わりの怪談、熱中症も吹き飛ぶ怖い映画でした。何が怖いって、何か怖いことが起きそうだという間合いの雰囲気が怖いんですね。
最後には白い着物で長い髪を振り乱した日本の伝統的な幽霊の実物が顕れました。
それがテレビモニターから、グワーッと身を乗り出すようにでてきたのですから、思わず「ギャーッ」と叫んでしまいましたよ・・
真夜中に一人で見ない方がいいですね。続編もたくさん出ているようですが視聴する勇気がありません。
怖かった~恐怖のビデオ回って来ませんように・・
★それでは、またお会いしましょう。Good Luck!