こんにちは、皆さん!「福寿草」は、愛と憎しみが交錯する韓国発の復讐ドラマです。緻密なストーリーテリングと感情を揺さぶる展開で、多くの視聴者の心を掴んできました。
このドラマの魅力は、単なる復讐劇にとどまらず、登場人物たちの生き様や内面の葛藤を通じて、深い人生哲学を描き出している点にあります。「福寿草」というタイトル自体が象徴するように、物語は逆境の中でも希望を見出し、再生する力を持つ人間の強さを描いています。
今回は本作を通じて物語が語るメッセージ、人生の教訓について考え、物語が示す人生の道しるべを、一緒に紐解いてみましょう。
「福寿草」予備情報
「福寿草」は、韓国のケーブルテレビ局tvNで2012年に放送された全108話のテレビドラマです。濡れ衣を着せられたヒロインが苦労の末、自分を陥れた悪女への復讐と共に人生を取り戻す物語。高視聴率をキープし、福寿草シンドロームと言われるほど大きな話題となった作品です。
【スタッフ】
演出:チェ・ウンギョン
脚本:ヨ・ジョンミ
【キャスト】
ソル・ヨナ役:イ・ユリ(私はチャンボリ!・凍える華)
ハ・ユンジェ役:ヒョン・ウソン(貴婦人・カッコウの巣)
チェ・ユラ役:ユン・アジョン(ガラスの城・あの空に太陽が)
チェ・ガンウク役:チョン・チャン(最高の恋人・黄金のリンゴ)
「福寿草」ざっくりあらすじ
ヨナの母親とユラの父親の再婚により姉妹となった二人。しかし、ユラは父親の再婚を受け入れられず、ヨナとその母に激しい憎悪を抱いていました。
というのも、ユラは幼馴染のユンジェを一途に慕っていましたが、ユンジェは大学時代交際していたヨナと恋人関係にあることを知り、嫉妬心を募らせていたのです。
ユンジェは現在「ジェイ化粧品」の社長、ユラは彼の秘書を務めていました。そこへヨナが入社してきて、ユラは心穏やかではいられず、ヨナをなんとか追い出そうと画策します。
ユラは秘密裏に会社の情報をメールで他社に送信、ヨナを産業スパイに仕立てあげます。
さらに、ユラは誤ってユンジェの妹ユニをひき逃げしてしまうのですが、間もなく通りかかったヨナがユニを救助しようとするも死亡してしまいます。何食わぬ顔で戻って来たユラはヨナに交通事故の濡れ衣を着せてしまうのでした。
事故現場を検証したパク刑事は、犯人を指し示す証拠のアンクレットを発見したにもかかわらず、この悪徳警官は犯人ユラを脅し多額の金銭を要求し、代わりにヨナを犯人とする証拠のねつ造に加担するのでした。
裁判の結果、産業スパイや交通事故の罪でヨナの服役が確定、冤罪で愛も家族も全てを失い奈落の底に突き落とされたヨナ、怒りと絶望に打ちひしがれます。
◆ ◆ ◆
ジェイ化粧品では、亡くなったユニの後任者として、ユンジェの義母(後妻ミンジャ)の実子ガンウクが開発チーム長に就きます。義母に社長不信任案を突きつけられたユンジェは、ユラとの結婚を条件にユラの祖母の助けを借り窮地を脱するのでした。
一方、ヨナの母ギョンスクは、夫インソクとユラの会話から事件の真相を知り、娘のスエと共に家を出てしまいます。母と妹が行方不明になったこと知ったヨナは、刑務所仲間ヨンスンの助けを借りてユンジェとユラの結婚式当日に脱獄を決行するのです。
しかし、決死の脱獄で花嫁姿のユラを追い詰めますが、屋上からプールに転落、ヨナは再び刑務所に収監されてしまいます。しかし、これをきっかけとした診断でヨナに新しい命が宿っていることを知らされます。
一方、産業スパイ事件の証拠となる録画DVDを入手していたガンウク、当初事件とは無関係と黙しているはずが、ヨナに対し罪悪感に駆られたガンウクは「ゾルバ」と名乗り、ヨナに励ましの手紙を出し続けます。ヨナは自分の無実を信じてくれる人がいることに慰められるのですが・・
◆ ◆ ◆
お腹の子のためにヨナは人生を前向きに生きようと頑張ります。そして臨月を迎え獄中で出産、男の子が生まれテヤンと名付けます。
しかし刑務所で子供を育てることはできず1歳半となったテヤンは施設に預けられることになります。
ヨナに子供がいることを知ったユラは、夫ユンジェに知られることを恐れ、秘密裏に書類や名前を改ざんし、子供を施設から養子に出してしまいます。
三年が経ち、我が子との再会を夢見て困難を耐え抜いたヨナは、ついに仮釈放の日を迎え息子に会いにいきますが、そこにテヤンを見つけることはできませんでした。
ガンウクの計らいで、ヨナは働き始め、再審請求のため事件の証拠集めにも傾注しました。
一方、事件の真相を知った母ギョンスクと妹のスエも証拠集めに専心していました。
それを知ったユラは、ギョンスクに近づき、証拠の録画DVDを巡ってもみ合いとなり、ギョンスクは崖から転落してしまいます。ユラは自らの過ちを隠蔽、遺書をねつ造し自殺に見せかけます。
◆ ◆ ◆
大富豪のジュリア会長が国外から韓国入りし、ビジネスと称しジェイ化粧品に接触してきます。ジュリア会長は自らの境遇とよく似たヨナと出会い親しくなり、復讐のために自分を利用しなさいと協力を申し出ます。
実は、ジュリアはユンジェとユニの実母であり、後妻のミンジャに謀られ家を出た過去があり、復讐のため国外から戻ってきたのです。ユンジェは思いがけずジュリアと親子の対面を果たし、併せてユラの悪事や疑惑を告げられ苦悩するのでした。
ある日、ヨナの元に行方不明だった息子がイギリスで火災に巻き込まれ死亡したという衝撃の連絡が届き、ヨナは失意に打ちのめされます。テヤンの墓地で嘆くヨナの元にユンジェが訪れ、ヨナと自分の間に息子がいたことを始めて知り、ユラの策略で亡くなったことを聞かされます。怒りに震えるユンジェ・・
一方、崖から落ちたヨナの母ギョンスクは一命をとりとめていました。これによりユラの悪事が証言され、また集められた数々の証拠を元に、ヨナは暴露放送の準備を整えつつありました。
切羽詰まったユラはテヤンを拉致しますが、監禁した場所で火災が発生、それを救ってくれたのはガンウクでした。その際ガンウクは負傷し、母ミンジャが犯した罪を償うかのように帰らぬ人となってしまいます。最後に彼がゾルバだという事実を知り、ヨナは悲しみに暮れるのでした。
そして、ついにヨナの暴露番組が放送され、悪徳警官やユラの悪事が明らかに・・
★長い長い、様々な要素が詰まった復讐物語、ざっくりあらすじでもこんなに長くなってしまいましたねぇ~。
「福寿草」見どころ・感じどころ
◆人間の弱さと強さ・邪心と正義
人間には数々の煩悩がありますが、通常の場合は理性が働き、葛藤すれども則を超えることはありません。しかし、平常心を保てず感情のコントロールができなくなると犯罪にまで及ぶ大変なことになってしまいます。
本作で描かれた悪女はまさにその典型です。過ぎたる嫉妬が高じて、人を陥れる犯罪、そしてそれを隠蔽するため嘘に嘘を塗り重ねてゆく悪循環スパイラル。しかし、その結果は焦燥と自滅の道を辿ってゆくことに・・心の弱い人間が道を踏み外しやすいということかもしれませんね。
一方、本作のヒロインのように、精神的に強い人間は、一時的に挫折したとしても立ち直り、逆境にあってもくじけず困難を乗り越え、新しく生きる道を見つける努力を続けようとします。打たれながらも堂々と生きるヒロインを応援したくなります。
前半はヒロインに次々と悲劇が降りかかり冤罪に胸が痛くなりますが、後半は悪女役ユラの陰謀が少しずつ暴かれ、次第に追い詰められてくる展開に目が離せません。
◆幸福と悲しみ、含みのあるタイトル
復讐劇に付けられた「福寿草」というタイトル、さてどんな意味を持つ花なのでしょうか?
「福寿草」は春の妖精スプリング・エフェメラルとも呼ばれ春を告げる花の代表です。雪を割って咲く花の如く、厳しい寒さに耐え花を咲かせる強い性質を持っています。まさにドラマのヒロインの境遇にふさわしいタイトルですね。
寒さの中に咲き誇る黄金色の花は新春を迎える象徴のような花です。別名“元日草”や“朔日草”とも呼ばれ、古くから新年を寿ぐ縁起の良い花とされ、花言葉には「幸せを招く」「永久の幸福」などがあります。
一方、西欧での「福寿草」のイメージは日本とは異なるようです。
英名は Amur adonis(アムールアドニス)で、シベリア東部に分布する花とされ、花言葉も「悲しき思い出・悲しみの記憶」とあるようです。
福寿草の根は毒性が強く死に至る危険性もあるとか。ドラマのタイトルは、こちら邪心の毒性という意味も感じられなくはありません。
★切手の図柄にもなっている福寿草、学術分類はキンポウゲ科フクジュソウ属の植物で、北海道・東北・長野など寒冷地の町や村のシンボルになっています。
「福寿草」から汲み取る人生哲学
このドラマは愛憎による復讐劇を描いていますが、その物語が指し示す人生哲学は、憎しみが生む悲劇、過去の傷を癒し許し合うことの大切さ、ポジティブな生き方などを示唆しています。
嫉妬や憎しみが生む悲劇
嫉妬や恨みという心理が生む邪心は人間が生まれ持った業なのでしょうか?主人公の愛と憎しみの狭間で揺れる心、そして復讐心に突き動かされる彼女の行動は、我々に何を教えてくれるのでしょうか?
嫉妬や恨みといった感情は、人間が持つ自然な反応の一部であり、これらを完全に消すことは難しいかもしれません。しかし、世の中には嫉妬や恨みによる犯罪も多く、邪悪な心理が高じれば恐ろしい悲劇が生まれ人生が狂ってしまうのです。
こうした事態に遭遇し邪心が生まれ始めた時、私たちはどのように考え、どのように対処すればよいでしょうか?物語を多面的に捉えると、新たな視点が見えてきそうです。
どこかで復讐の連鎖を断ち切り、過去を乗り越え、新たな未来を築く、という前向きな捉え方です。物語の登場人物の行動や選択を通じて、自分自身の人間関係や葛藤に対して考えるきっかけとなるかもしれません。
葛藤と感情のコントロール
悔しい!憎らしい!ぶっ飛ばしてやりたい!そんな気持ちになった時、まずは深呼吸して落ち着きましょう。一時的な感情に流されず、冷静に対応することが大切です。一歩引いて考える時間を持つことが役立ちます。
なぜ自分がそんなに感情的になっているのか考え、一方、視点を変え、他人の立場や感情をも慮り理解しようとすることで、自分のネガティブな感情を和らげることができます。
気持が落ち着いてきたら、運動や好きなことに時間を使い気持ちをリフレッシュしましょう。きっとポジティブな結果を生むことができるでしょう。
このように感情のコントロール力を上げるには、常日頃、自分の感情と向き合い、考え、反省し、葛藤する習慣が大事です。自分の感情に向き合い、対処することは自己成長の機会と捉えることができ、より豊かな人間関係を築くことにつながります。
嫉妬や恨みの感情に振り回されず、他者への共感と理解を心掛け、前向きな生き方を目指しましょう。思いやりや優しさが、最終的には自らの心を癒し、幸せへの道を開くのです。
◆ ◆ ◆
福寿草は寒さ厳しい冬を越えて初春に咲く花、その花のように、ドラマの登場人物たちもまた苦難の中で新たな芽を出し、成長していきました。
本作「福寿草」からは、過去の傷を癒し、憎しみを超えることの大切さや、前向きな未来への希望を見出そうとする人生の教訓を得ることができますね。
「福寿草」まとめ
はい、嫉妬に狂った女性の邪心と焦燥、それに正々堂々立ち向かい、新たな人生を歩もうとする忍耐強い女性の復讐ストーリーでした。長い長いトンネルでしたが、最後まで目が離せない展開に寝不足となりました。
人間の煩悩の一つ「嫉妬」、一歩間違えれば人生を狂わせてしまう犯罪にまで発展する恐ろしいものですね。
うっかりついた小さな嘘、それを正当化しようとすると、次から次へと嘘を塗り重ねていくことになってしまいます。
過ちは勇気をもってすぐに糺すこと!正直は宝!私たちの日頃の人間関係においても教えられるものがあります。
それでは、またお会いしましょう。Good Luck!