こんにちは、皆さん!「ベン・ハー」は、1959年に公開されたアメリカの歴史劇映画、叙事詩的映画の金字塔とも言える存在です。その壮大なスケールと圧倒的な映像美で人間ドラマが描かれ多くの人々を魅了しました。
物語は古代ローマ時代を背景に、ユダヤ人貴族ベン・ハーと彼の宿敵メッサラの運命的な対立が描かれます。劇中で繰り広げられる名シーンの数々、中でもコロッセウムでの戦車競走の緊迫感と迫力は特筆すべき見どころです。
また冒頭、イエスキリストの誕生から始まり、迫害、絶望、復讐、そして終盤はキリストの磔と奇跡の顕現で締めくくられ、観るたびに新たな感動を覚えること必至です。
今回は、再び古代ローマの世界に足を踏み入れ、あの感動に浸ってみたいと思います。
「ベン・ハー」予備情報
「ベン・ハー」は、1959年のアメリカ映画、上映時間222分の大作です。舞台は帝政ローマ時代、物語はユダヤの青年ベン・ハーが苛酷な運命に抗いながら生き抜く姿を、救世主イエス・キリストの存在を背景に描かれます。
同年のアカデミー賞11部門で受賞、史上最多受賞記録を打ち立て、公開後は全世界で大ヒットしました。
【スタッフ】
監督:ウィリアム・ワイラー
脚本:カール・タンバーグ
原作:ルー・ウォーレス(ベン・ハー:キリストの物語)
音楽:ミクロス・ローザ
【キャスト】
チャールトン・ヘストン、スティーヴン・ボイド、ジャック・ホーキンス、ヒュー・グリフィス
「ベン・ハー」ざっくりあらすじ
ユダヤ人が多く住む辺境の地イスラエル、ベツレヘムの厩で救世主イエス・キリストが誕生してから26年の歳月が流れていました。
紀元26年、ローマ軍を率いてエルサレムにやってきた司令官メッサラは、幼馴染のベン・ハーとの再会を喜びます。
メッサラはユダヤ貴族であるベン・ハーにローマ軍に協力するよう要請するのですが、同胞のユダヤ人がローマによって苦しめられていたためベン・ハーはこれを拒否するのでした。

二人の友情にヒビが入り始め、友情は対立へと変わってゆきます。
ローマの新総督グラトゥスがエルサレムに入り隊列が進んでいる時、見物していたベン・ハー家の瓦が落下する事故が起き、司令官メッサラはこれを暗殺目的とみなし、ベン・ハーとその家族、母のミリアム、妹のティルザが逮捕されてしまいます。
逮捕されたミリアムとティルザは投獄され、ベン・ハーは奴隷の身分に落とされガレー船の漕ぎ手として過酷な運命を強いられることになります。
護送中、水を与えられず歩き続け喉の渇きで苦しむベン・ハーに水を施してくれた一人の男がおり、ベン・ハーの脳裏に刻まれました。
◆ ◆ ◆
ベン・ハーが奴隷となって3年、彼は生き延びてガレー船軍艦隊の漕ぎ手を続けていました。
ある時、マケドニアとの海戦で船は沈没、大混乱の中、ベン・ハーは総司令官クインタス・アリウスの命を救います。アリウスはベン・ハーに感謝し、彼を養子に迎えることに。
将軍アリウスの養子となったベン・ハーはローマの市民権を得て再起を図り、母と妹の安否を求め祖国へ戻る決意を示します。
帰国の途上、ベン・ハーはアラブの富豪イルデリムと出会います。彼はローマへの敵愾心が強く、戦車競走でローマ勢力を打ち負かそうとしており、馬の調練をよくするベン・ハーの実力と気概を見込んで戦車競走への参加を説得します。
故郷へ戻ったベン・ハーは恋人エスターと再会し、母と妹は獄中で癩病に罹り亡くなったと伝えられます。メッサラへの復讐に燃えるベン・ハー、メッサラも出場するという大戦車競争に挑みます。
コロッセウムを9周する熾烈な戦いが始まり、メッサラは戦車に刃物を装備しベン・ハーの戦車を妨害、壮絶な死闘が繰り広げられる中、ついにメッサラは戦車から転げ落ち後続の戦車に轢かれてしまいます。
勝利したベン・ハーに、瀕死のメッサラから、母と妹は癩病に罹り生きていることが告げられます。
ベン・ハーが癩病の谷へ向かうと、そこで食事を運んできたエスターと出会います。癩病に侵された醜い顔を曝したくはないという二人の気持ちを察し、岩陰に隠れて様子を伺い、母と妹の声を聞き涙を流すのでした。
◆ ◆ ◆
胸を痛めるベン・ハーに、エスターは神の御子の元へ行くことを促します。少しでも母や妹の心が安らぐならと、ベン・ハーは皆で神の御子・救世主の元に向かいます。
街へ行くと、救世主キリストが磔にされると大勢の人が騒ぎ集まっていました。十字架を背負ったその男を見た瞬間、ベン・ハーは、かつて自分に水を施してくれたのは救世主キリストだと知り愕然とします。
ベン・ハーは倒れ込んだキリストに水を与えようと駆け寄ります。彼曰く「全ての人の罪を背負って死ぬために生まれて来た」と。キリストはゴルゴダの丘で磔にされ、ベン・ハーは神の御子の死を嘆く他ありませんでした。
処刑の直後、天から雷鳴が轟きキリストの血を洗い流すように雨風が吹き荒れました。しかし、絶望したベン・ハーの前に神の奇跡が起こりました。母と妹の癩病の醜い顔が嘘のように治っていたのです。歓喜して抱き合う家族、この時、ベン・ハーは憎しみと復讐心から解き放たれたのです。改めて神の奇跡を知り、畏敬の念を捧げるのでした。
「ベン・ハー」見どころ・感じどころ

◆圧巻のコロッセウム戦車競走
古代ローマ、コロッセウムでの戦車競走シーンは圧巻!4頭立ての馬が引く戦車・総勢9台、36頭の馬が砂塵を巻き上げ走破する緊迫感はスリルと興奮に満ちています。
ベン・ハーが率いるのは白馬、かたやメッサラは黒い馬で戦車に刃物を装備、競技場狭しとばかり走駆する戦車の壮絶な戦いは身震いするほど臨場感溢れるシーンとなっています。
◆イエス・キリストとの出会い
歴史スペクタクル映画「ベン・ハー」は、イエスキリストへの信仰という宗教的なテーマが背景にあります。
物語は、救世主イエス・キリストの誕生から始まります。奴隷となったベン・ハーにキリストが水を施す場面があり、この出会いが終盤、十字架での磔、奇跡の顕現、そしてベン・ハーの覚醒で締めくくられます。
ベン・ハーがイエス・キリストと出会い、その言葉に導かれ、奇跡の顕現を目の当たりにし、復讐心から解放され安寧を得て感謝の念を捧げる、まさに神の恩寵が示された荘厳な物語とも言えるでしょう。
◆映画史上に燦然と輝く名作!
とにかく壮大な歴史スペクタクル映画!ハリウッド映画の中でも最高傑作に数えられ、当時1500万ドル、現在では約130億円という破格の製作費が投じられた超大作映画です。
エキストラは数千人に及んだとされ、石柱が並ぶ荘厳な宮殿や石畳の街並みなどが再現され、まさに古代ローマの重厚な在り様を感じさせられる圧倒的なスケール感です。
「ベン・ハー」は6年という制作期間をかけ創造され、アカデミー賞で11部門を受賞するという初の快挙をとげ、映画史に残る不朽の名作として高く評価されています。
「ベン・ハー」神の奇跡

世界中を見回すと、過去においても現在でも、実際に様々な奇跡が起こっていることが文献で紹介されています。
本作「ベン・ハー」には「神の奇跡」というテーマが幾度となく描かれ、私たちに深い感銘が与えられます。劇中の奇跡の瞬間に注目してみましょう。
【絶望からの解放】主人公ベン・ハーは奴隷としてローマのガレー船で漕ぎ手を務め絶望的な状況に置かれていましたが、奇跡的に救いの機会が訪れます。海戦で軍船が破壊沈没し、ベン・ハーは束縛から解放されます。この場面は、絶望の中からの奇跡的な救いを暗示しており、神の力が働いた結果であると理解できます。
【戦車競走の勝利】ベン・ハーは旧友であり敵でもあるメッサラとの戦車競走に挑みます。このレースは命を懸けた凄まじい戦いとなりますが、最終的にベン・ハーは勝利し、メッサラは致命傷を負います。この勝利は技術や運もさることながら、神の御加護があったと見ることもできます。ベン・ハーの秘めたる信念の強さが奇跡を呼び寄せたのです。
【癩病の奇跡的な治癒】ベン・ハーの母と妹は癩病の谷で隔離生活を余儀なくされていましたが、物語の終盤、奇跡的に癒されます。これは、イエス・キリストの処刑時に起こった大暴風雷雨と連動し、神の力によって癒されたと解釈されます。この出来事は、ベン・ハーの信仰と希望が報われた瞬間であり、神の慈悲深い力を象徴しています。
【キリストとの邂逅】映画の中でのイエス・キリストとの出会いも重要な奇跡の瞬間です。ベン・ハーが奴隷として連行され砂漠の中で倒れそうになる場面で、イエスは彼に水を与えます。この行動は小さな奇跡ですが、ベン・ハーにとっては大きな励ましとなり、再び立ち上がる力が与えられます。この出来事は、神の慈悲と人間への無償の愛を象徴しています。
◆ ◆ ◆
このように「ベン・ハー」を通じて描かれる「神の奇跡」は、多くの場面で、人間の限界を超えた力や希望、救済の象徴として描かれ、困難や逆境の中で希望を持ち続け、信じることの大切さを教えてくれます。それらは神の奇跡によってもたらされる救いのメッセージであると言えるでしょう。
この映画の「神の奇跡」というテーマは、私たちに深い信仰や希望を持つことの重要性を強く訴えかけてきます。ベン・ハーの物語は、単なる歴史劇やアクション映画を超え、人間の精神的な成長と信仰の力を描いた作品として多くの人々に感動を与え続けています。
「ベン・ハー」まとめ
はい、何度見ても感動してしまう、アメイジングな映像世界、古代ローマの時代に没入してしまいます。
海戦、戦車競争、凱旋と、全体的にはワイルドなシーンが多いですが、一方、家族愛も描かれ、背景にある宗教的な面では、イエス・キリストのお顔がはっきりと捉えられないように描かれているため、尚更神々しく神秘性が感じられます。
222分という長編ですが、古代ローマの情景や、ベン・ハーの波乱万丈な人間ドラマに見入り、最後まで目が離せない展開でした。
教科書の世界史は覚える量が多くてうんざりでしたが、小説や映画で知る歴史は面白いし忘れることもなく記憶に留まりますね。もちろん脚色されてはおりますが、しかし、事実は小説よりも奇なり、とも申しますから・・

★それでは、またお会いしましょう。Good Luck!