こんにちは、皆さん!「エメラルドフォレスト」は、南米アマゾンの熱帯雨林を背景に、文明と秘境を越えてつながる親子の絆、心の交流を描いた物語です。
ジャングルの奥地という神秘的な雰囲気に包まれた中で、幻の部族「インビジブルピープル」との出会いや、文明がもたらす自然破壊との葛藤が織り成す物語は、心を揺さぶるものがあります。
今回は、アマゾンの「エメラルドフォレスト」が描き出す不思議な世界へ、アマゾンの奥地へと分け入ってみましょう。一歩足を踏み入れれば、驚きと感動のスピリチュアルな冒険が待っているはずです。
「エメラルドフォレスト」予備情報
「エメラルドフォレスト」は、1984年のイギリスの映画です。アマゾンのジャングルで幼い頃に消えた息子に10年を経て再会、インディオの戦士として成長していた息子と共に、自然の営みを軽視する者たちに対峙し森を守るという秘境アドベンチャー映画。エキゾチックな音楽を背景にスピリチュアルなアマゾンの神秘が描かれます。
【スタッフ】
監督:ジョン・ブアマン
脚本:ロスポ・パレンバーグ
音楽:ジュニア・ホムリッチ ブライアン・ガスコーン
【キャスト】
父親・ビル 役:パワーズ・ブース
子供・トミー役:チャーリー・ブアマン
母親・ジーン役:メグ・フォスター
酋長ワナディ役:ルイ・ポロナ
トミーの妻・カチリ役:ジラ・パエス
「エメラルドフォレスト」ざっくりあらすじ
アマゾン熱帯雨林でダム建設に従事するアメリカ人技師ビル・マーカムは、ある日、妻子を仕事場に連れて行ったのですが、目を離した間に7歳の息子、トミーの姿が見えなくなってしまいました。
トミーの行方を探し続けて10年、ジャングルの奥深くに住むある幻の部族がトミーの失踪に関わっているのではないかという情報を得て捜索に向かいます。
途中ビルは不気味なインディオたちの襲撃を受け殺されかけますが、たまたま現れた若いインディオに救われます。その若いインディオの戦士こそ、成長したトミーだったのです。
トミーは傷ついた父を部族の村へ連れていきます。トミーの部族はエメラルドを粉にして体に塗り、緑の保護色として森林に溶け込む幻の部族だったのです。
トミーは族長ワナディの息子として育てられ、ビルはトミーに一緒に帰るよう望みますが、トミーはここが自分のすみかだと帰る意志は無く、部族の娘カチリと結婚の儀式をあげます。ビルはトミーを連れて帰ることを諦めざるをえませんでした。
その後まもなく、凶悪な戦闘部族によりトミーの村が襲撃され、若い娘たちは武器と交換に売春宿に連れ去られてしまいました。トミーたちは夜陰に乗じて救出しようとしますが、銃で逆襲されワナディは射殺されてしまったのです。
文明の力に対抗すべく、トミーはインディオに伝わる不思議な瞑想儀式を行い、子供の頃の記憶を辿り町に住むビルの居所をみつけ救援を求めました。そしてビルの協力を得て、部族の娘たちを奪還することに成功します。
ビルは、ダムが完成するとインディオの生活は破壊されてしまうかもしれないとトミーに伝えると、トミーは「洪水を祈ってダムを押し流す」と言うのでした。
やがて、トミーの言う通り大雨がやってきてダムに決壊の危機が迫ります。ビルは自分が手掛けるダム建設が大事か、トミーたちのジャングルの暮らしを守るべきか苦悩した末、ついに放水を決断しダムを崩壊させるのでした・・
「エメラルドフォレスト」見どころ・感じどころ
見どころは、南米の熱帯雨林アマゾンの深い森林とそこに同化して暮らす幻の部族、インビジブル・ピープルと呼ばれるインディオの神秘的な人々の姿ですね。
同時に物語は自然破壊への警鐘を感じさせられるものでもあります。
◆熱帯雨林・アマゾンの深い緑
ジャングルの深い緑、湿潤な森、木漏れ日に鳥の鳴き声、夜ともなれば様々な動物が徘徊し、何かが潜んでいるような不気味な闇が訪れる・・
本作では、観光旅行ではなかなか味わうことのできない本物のジャングル、CGではないリアルな現実感で、その美しさと恐ろしさを感じることができます。
現代文明から隔絶されて暮らし、普段は見かけることのない幻の部族、見えない人々、インビジブル・ピープルのスピリチュアルな要素も取り入れられ、エキゾチックなBGMでアマゾンの神秘的な雰囲気が伝わり癒されます。
◆エメラルドのボディペインティング
インディオのボディペインティングは映画などでもよく見かけますが、本作のエメラルドグリーンはまた独特です。
エメラルドを粉にして身体に塗り、ジャングルの緑に溶け込むように擬態しているのですね。湿潤なジャングルの中、じっとりと汗がにじんでくるような泥臭い映像でもあり、またミステリアスな雰囲気でもあります。
アマゾンの奥地に暮らすインディオは、現代文明に浴さず自然と共に生きています。自然のエネルギーと共振・共鳴し、シャーマンのように特殊能力を有する者もきっといることでしょう。
映画では、植物性のドラックのようなものを使用し、幻覚を引き起こし、精神世界へと導かれていくのですが、やはり不思議な感覚です。
★とても個性的な息子トミー役のチャーリー・ブアマンは、監督ジョン・ブアマンの実子だそうです。
◆自然との共生・自然破壊への警鐘
人類は文明の発展をお題目に、自然環境を犯しながらその営みを続けています。本作「エメラルドフォレスト」ではダム建設が扱われ、自然破壊問題が提議され、また自然との共生について考えさせられるものがありました。
多くの建設物の用地として、また大量生産のために畑の拡大が進み、世界中で木々は伐採され、森林は消滅の一途を辿っています。その結果、地球大気の気温上昇、巨大台風の発生、豪雨の頻発など世界的に異常気象の弊害が起こっています。
もちろん、早期にそれと気づいた人々は地球環境保護を訴え、現在では各国の協力体制の下に前向きですが、それも利権絡みで遅々として進まないのが現実です。
地球温暖化を防ぐために、海や森の自然を守るために、国は国として、私たちは身近な暮らしのなかで出来ることに意識を向けることが大切ですね。
リサイクルを心がける・地産地消を心がける・過剰包装の製品は避ける・食べ残しをしない工夫・ゴミを出さない工夫・買い物の際には本当に必要な物か考えてみる、等々・・
「エメラルドフォレスト」スピリチュアルワールド
ちょっとした疑問ですが、インディオとインディアンはどう違うのでしょうか?
日本では、アメリカ先住民のうち北米に住む先住民は、英語でインディアン、南米に住む先住民は、スペイン語・ポルトガル語でインディオと呼び分けることが多いようです。
北アメリカに入植したのは主にイギリス・フランス、一方、南アメリカはスペインやポルトガルによって開拓された経緯によるからなのでしょうね。
さて、インディオのスピリチュアルな習俗について探訪してみましょう。
アニミズム(自然崇拝主義)
太古から人類は自然と共に暮らしを営んできました。天地自然による日照りや風水害には苦しめられることもありますが、命を育む実りや獲物を与えてくれるものでもあります。
天地自然には大いなる神秘の力が宿っていることを信じる古代の人々は、巨石・巨木、あるいは丸石などを神聖なものとして祀り、自分たちの民族を守ってもらうよう捧げものをし祈りの対象としました。自然や精霊を崇拝するアニミズムと呼ばれるものです。
シャーマンと呼ばれる特殊能力者により、大いなる神秘と交信しようとする儀式が事あるごとに行われました。
火や水も神聖なものとして儀式に使用されましたが、インディオの儀式には欠かせないものがありました。それは向精神性の成分を含むタバコなどの植物です。
インディオの生活に欠かせないタバコ
タバコ(煙草)は、ナス科のタバコ属に分類される植物で、その起源は紀元前まで遡り、南米アンデス山脈を中心にインディオによって栽培されていました。紀元後にも渡りマヤ文明で宗教的儀式に用いられていたようです。
タバコを燃やした煙は悪霊を払うとされ、病気を治癒するため人に吹きかけたり、またタバコの葉を直接食べ体内の悪い物を吐き出させたりと、タバコは万能薬として使用され生活に無くてはならない物でした。
宗教儀式では、タバコを燃やす香りが不思議な精神状態へと誘因するための一つの手段となります。またタバコを燃やすための赤や青の石製の皿やキセルなども神聖視される大事な道具となっています。
こうした伝統は太古の時代から現代にも続き、タバコはインディオの暮らしにスピリチュアルな世界を醸し出しています。
インディオのスピリチュアルな儀式
宇宙自然の大いなる神秘とのコミュニケーションは、実際にどのような儀式が行われたのでしょうか。
まずは、魔力や奇跡、自然のエネルギーを顕現させるための、衣装やボティペインティングなどの装いが大事な要因です。それを纏うことで心身共に自然の一部となったことを外観で示します。
次に、俗に言う幻覚剤、想念を引き出し深い瞑想に入るため、向精神性の薬物を使用します。その種類は様々で、タバコを始め、コカ、アサガオなど植物の葉や根、サボテンの一種であるペヨーテやサンペドロ、またシロシピンなどキノコなどに含まれる特殊な成分が用いられます。
これらは肉体に宿る霊的な分子をコントロールし、自然との共振・共鳴を図り、魂と繋げるための能力を増幅する一つなのです。
キセルなどでこの煙を吸うと、肉体は眠り酩酊状態に陥ります。
かなり危ないドラッグのように思えますが、シャーマニズムの文化社会では神聖な薬として普通に処方されるもので、実際にうつ病や中毒症状などの治療として使われています。
この高精神性物質が引き起こす深い酩酊というか瞑想状態において、幻覚や幻視体験が起こり、スピリチュアルな世界を垣間見ることになるのでしょう。一説には幽体離脱の感覚を得ることもあるそうです。
◆ ◆ ◆
映画では、トミーが瞑想の中で大鷲に変身し、ジャングルを越え、過去の記憶を辿りながら街の上空を飛び回り、父親ビルの住まいを発見するシーンがあります。これはお互いの魂が共振・共鳴したからに他ならない!離れていても親子の絆と魂は固く繋がっていたのです。
私たちは宇宙の分子の一部、遍く自然のエネルギーの存在を信じたいと思います・・
「エメラルドフォレスト」まとめ
はい、インディオの戦士として成長した息子と父の再会を軸に、親子の絆と自然の尊さを描いた秘境物語、熱帯雨林アマゾンの深い森林や濡れて輝く緑を体感できるような映画でした。
アマゾンの奥地に暮らすスピリチュアルな存在、幻の部族インビジブル・ピープル、その独特の世界観も神秘的で不思議な感覚の映画でした。
今、アマゾンは開発が進み、無限に広がる未開のジャングルはだんだん狭まり、森に暮らす人々や動物たちの生活圏が脅かされているといいます。
「エメラルドフォレスト」に描かれる、自然への畏敬と共存の大切さを垣間見ることで、少しでも地球環境への意識が高まり、日常に新たな気づきが生まれるかもしれません。
それでは、またお会いしましょう。Good Luck!