こんにちは、皆さん! 世界中で愛される映画「ライフ・イズ・ビューティフル」は、戦争と家族愛をテーマにした名作として、多くの人々に感動を与え続けています。
この作品は、戦争という極限状況の中で、過酷な現実を笑顔と言葉によって希望に変えて耐え抜く人間の強さや知恵、愛情を描いており、観る者の心に深い共感を呼び起こします。
戦時下の、しかも強制収容所という絶望的な暮らしを強いられる中にあるからこそ、一層、主人公と家族の絆が光を放ち、人間の優しさ温かさに心打たれます。
本記事では、平和への祈りと共に、戦争や民族迫害の問題などにも触れつつ、「ライフ・イズ・ビューティフル」が持つメッセージについて考えてみたいと思います。
「ライフ・イズ・ビューティフル」予備情報
「ライフ・イズ・ビューティフル」は、1997年のイタリア映画。イタリアを代表する喜劇俳優ロベルト・ベニーニ氏が監督・脚本・主演した作品です。第二次世界大戦下のユダヤ人迫害(ホロコースト)を背景に、捕らわれた主人公のユーモアと悲哀を描いた感動作です。
第51回カンヌ国際映画祭で審査員グランプリ賞、アメリカの第71回アカデミー賞で作品賞他、数々の賞を受賞しています。
【スタッフ】
監督:ロベルト・ベニーニ
脚本:ロベルト・ベニーニ ヴィンセンツォ・セラミ
【キャスト】
グイド (主人公) :ロベルト・ベニーニ
ドーラ (グイドの妻) :ニコレッタ・ブラスキ
ジョズエ(グイドの息子):ジョルジョ・カンタリーニ
エリゼオ(グイドの叔父):ジュスティーノ・デュラーノ
レッシング(医師・友人):ホルスト・ブッフホルツ
「ライフ・イズ・ビューティフル」ざっくりあらすじ
1937年のイタリア。ユダヤ系イタリア人のグイドは本屋を開こうと、トスカーナ地方の町アレッツォにやって来ました。そこで美しい小学校教師のドーラに出会い恋をします。
いつも陽気なグイドは、ドーラの気を引こうとあの手この手で気持ちを伝えようと奮闘します。
やがて二人は晴れて結ばれ、息子のジョズエに恵まれ幸せな日々を送っていました。
しかし、第二次世界大戦の戦火が迫り、ナチスのユダヤ人迫害はアレッツォにまで及んできました。ある日、ドーラの留守にグイドとジョズエが兵士に連行されてしまいます。これを知ったドーラは後を追い、自ら強制収容所行の列車に乗り込むのでした。
人々は収容所で絶望と死の恐怖に恐れおののく毎日を強いられていました。
グイドは幼いジョズエを不安にさせないために、収容所の生活は「これはゲームなんだよ」と嘘をつきます。「生き抜いて点数を稼ぎ、勝ったら戦車がもらえるんだ」とグイドは息子を励まし続けるのです。
女性の収容所に入れられた妻ドーラがどんな状況かも気になり、監視の目くぐり、何とか励まそうとグイドの涙ぐましい努力が続きます。
そうこうするうちに大戦は終盤を迎え、ナチス軍は敗戦濃厚となり、収容所の兵士たちはあわただしく撤退を始めます。立ち去り際に捕虜たちは次々に射殺されてゆきます。
隙をみてグイドはジョズエと逃げ出し、ジョズエを秘かにゴミ箱の中に隠し、ドーラを捜しにいったのですが、兵士に見つかり射殺されてしまったのです。
ナチス軍が去った後、おずおずと外へ出たジョズエは、目の前に戦車が現われたのを見てビックリ!父親の言う通りになったと大喜びします。連合軍の若い兵士がジョズエを戦車に乗せてくれました。
戦車の上から道端を歩く母ドーラを見つけたジョズエ、歓喜の声で叫びます「ゲームに勝ったよ!」母子は感動の再会で抱き合うのでした。
「ライフ・イズ・ビューティフル」見どころ・感じどころ
名作と言うからには、タイトルからしてお堅い物語かと観始めたら、前半は主人公グイドが恋した女性ドーラを口説くドタバタ喜劇のコメディが続き、「こりゃあ軽すぎて見てらんない、止め」と思ったほど。
しかし後半、結婚し息子も授かって幸せな家庭から一転、ユダヤ人であるために家族もろとも収容されたアウシュビイッツの強制収容所での過酷な暮らしが始まり、一気にシリアスな展開になってゆきます。
◆優しいユーモアセンス・嘘も方便
強制収容所が舞台なので全体に暗いイメージなのですが、主人公グイドは陽気なイタリア人、持ち味のユーモアセンスを生かし息子を元気づける姿がとても痛ましく感じられます。
父親のグイドは、息子が怖がらないように、収容所の生活はゲームだと言って嘘をつきます。強制収容所での生活をゲームに例えるというのには無理がありますが、危機的状況を何とか脱しようと知恵を働かせたのです。
物理的には無理でも、心理的な働きにおいては“嘘も方便”その嘘が希望や安心感につながるものなら許されるものとなるでしょう。
◆家族を守ろうとする父親の姿に泣ける
グイドは常に陽気で、ちょっといい加減な人間にも見えたりします。でも、どんな苦境に立たされても、家族を安心させたいと、常に明るく振る舞う優しい父親なんですね。家族がいないところでは弱気になって悩んでしまう。そんな一面がとても人間らしく親しみを覚えます。
ラストでは、兵士に捕まったグイドがジョズエにウインクし、笑顔で大きく手を振り行進する姿は、息子にを不安を与えまいと、最後まで嘘を突き通して明るく振るまう父親の強さと優しさが心に迫るシーンでした。
「ライフ・イズ・ビューティフル」人生は美しい、というタイトルですが、本作は、家族全員が生き延びてハッピーエンドになると、反戦映画としては心に刻まれるものが半減して、もしかしたら名作とはならなかったかもしれません。
最期に主人公グイドが兵士によって射殺されてしまうことで戦争のリアリティが感じられ、生き残ろうと懸命に努力する父親グイドが、死をもって息子を守り、人生を全うした姿に感銘を受けるのです。
★兵士が捕虜たちに収容所のルールを翻訳するシーンは、
グイドのユーモア真骨頂!笑えます!
「ライフ・イズ・ビューティフル」戦争・迫害と平和への祈り
より美しい未来のために
「ライフ・イズ・ビューティフル」は、第二次世界大戦下でのホロコーストを背景に、戦争・迫害といういう暗い現実を描写しながらも、過酷な現実の中で支え合い、微かな希望を見出そうとする努力と家族愛をユーモアたっぷりに描いた名作です。
戦争と迫害の歴史は、人類における暗い過去であり、征服欲や民族主義が引き起こす苦難を痛ましく思わない人はいないでしょう。
戦争がもたらす不条理な苦しみと悲劇の中でさえも、主人公が持つユーモアセンスによる優しい嘘は、人間の善性と希望を顕わすもので、そうした愛が家族を支え、生きる意味や生きる力となっているものです。
私たちは過去を振り返り、未来をより良くするために、戦争や迫害の歴史から学び、戦争や暴力のない平和な世界の実現に向かって努力しなければなりません。人間に備わる善性、愛や思いやり、勇気や希望こそが、戦争や迫害に立ち向かう力となるのです。
本作を通じて、戦争という極限状況においても、人間の心の美しさが光り、家族の愛や絆はこんなにも強いのだというメッセージが示され、平和の尊さと大切さを改めて考えさせられます。
現在、世界のあちこちで起こっている戦争や紛争、世界中から平和を願う声があがっているにも関わらず、止む気配どころかますます増長しているかのようで本当に悲しく残念に思います。
私たちは、より美しい未来を築くために、人々が互いを尊重し支え合う社会を理想とし、一人一人が、例え些細で微力であっても、自らの行動や思考を通じて平和を実現する一端を担うことが求められます。
「ライフ・イズ・ビューティフル」は、平和への祈りを込めた作品であり、未来への希望を象徴しています。悲惨な戦争・迫害という重いテーマにもかかわらず、希望や愛に満ちた作品です。
この映画を通じて、私たちは平和への祈りを胸に、より良い未来のために努力し続けることの大切さを改めて確認させられるでしょう。戦争のない世界、争いのない社会を築くためには、個々の意識改革と行動が欠かせません。
平和への祈りは、私たちが目指すべき理想の未来への第一歩です。
未来のために、平和への祈りを胸に、前進していきましょう。
「ライフ・イズ・ビューティフル」まとめ
はい、「ライフ・イズ・ビューティフル」、悲しくも心に小さな灯がともるようにホット温かくなる映画でした。名作と愛されるのもうなづけます。
本作はコメディ要素もあり、ユダヤ人大虐殺という歴史の重いテーマを抱えながらも、沈鬱な気分に陥ることなく観ることができました。
“親心”という優しい人間ドラマを背景に反戦のメッセージが伝えられます。一度見たら絶対記憶に残る素晴らしい作品です。
今回のテーマ画像として、季節柄、ラベンダーを入れてみました。強制収容所の暗いイメージを払拭し、主人公の明るく優しい人柄と“人生は美しい”というタイトルに似合うように。ちなみにラベンダーの花言葉 は家族愛、希望、そして平和などの意味も含まれるようです。
★それでは、またお会いしましょう。Good Luck!