こんにちは、皆さん! 映画「モンテ・クリスト伯」は、復讐と再生をテーマにした名作として知られています。本作品が提供するメッセージやストーリーの奥深さは、視聴者に深い感動と人生哲学をもたらしてくれるに違いありません。
本記事では「モンテ・クリスト伯」の作品の見どころや面白さ、描かれた時代背景、原作者のアレクサンドル・デュマの人物像、そして物語の中で描かれる登場人物たちの様々な葛藤や人間模様に触れながら、憎しみ・復讐・許し・再生といった普遍的な人間性に思いを巡らせ、この名作に秘められた感動と啓示を一緒に探ってみたいと思います。
「モンテ・クリスト伯」予備情報
本「モンテ・クリスト伯」は2002年、イギリス・アイルランド・アメリカの合作で制作された映画です。原作は19世紀のフランスを代表する文豪アレクサンドル・デュマの小説。無実の罪で孤島の牢獄に幽閉された男が脱獄し、名も姿も変えて舞い戻り、パリの社交界に乗り込み復讐を果たす冒険活劇ラブストーリーです。
【スタッフ】
監督:ケヴィン・レイノルズ
脚本:ジェイ・ウォルパート
原作:アレクサンドル・デュマ・ペール
【キャスト】
エドモン・ダンテス/モンテ・クリスト伯役:ジム・カヴィーゼル
フェルナン・モンデーゴ役:ガイ・ピアース
メルセデス役:ダグマーラ・ドミンスク
ファリア司祭役: リチャード・ハリス
「モンテ・クリスト伯」ざっくりあらすじ
マルセイユの貿易商船ファラオン号は航海途中、船長の病で、ナポレオンの流刑地であるエルバ島に上陸します。
そこで航海士のエドモン・ダンテスは、ナポレオンから友人クラリオンへ届けて欲しいと手紙を預かりました。
帰港後ダンテスは日頃の功績を認められ船長に昇格、そして恋人メルセデスとの結婚が待っていました。
しかし、メルセデスとの結婚式の最中、突然反逆罪で逮捕されてしまったのです。
実は、ナポレオンから私的なものと言われて預かった手紙は、政治的な密書だったのです。
エドモンに濡れ衣を着せた讒言は、エドモンの出世を妬む同僚のダングラールと、メルセデスに横恋慕するフェルナン・モンデーゴによるものでした。
更に、取調べの検事ヴィルフォールは、自分の父親クラリオン宛ての手紙と知り、保身を図るため証拠を隠滅し、エドモンを孤島のシャトー・ディフへ投獄してしまいます。
冤罪で牢獄に送られたダンテスは絶望のどん底にありましたが、そのうち牢獄で壁を掘り脱獄を企てる政治犯のファリア神父に出会います。博学の神父はダンテスを友として、長い年月の間に無学のダンテスに様々な学問を教え、また剣術も学ばせました。
13年が過ぎたある時、脱出のため掘り進んだ壁が突然崩れ、神父は下敷きになってしまいます。もう助からぬと悟った神父はダンテスに「イタリアのモンテクリスト島に莫大な財宝が隠されている」と言い残し息を引き取ります。
エドモンは意を決し、神父の死体と入れ替わり脱出の機会を捉え、奇跡的に孤島からの脱獄に成功、自由の身となります!
数年後、財宝により巨万の富を手に入れたダンテスは、モンテ・クリスト伯と名を変え、自分を陥れた者たちへの復讐を開始します。
かつて密告状を書いたダングラールは銀行家に、モンデーゴはダンテスの恋人だったメルセデスを妻として伯爵へと成り上がり、ヴィルフォールは検事総長に出世していました。
華々しく社交界に登場した富豪のモンテクリスト伯を、誰もエドモン・ダンテスと気づく者はいませんでした。投獄されてから14年もの月日が流れ、相貌はすっかり変わっていたのですから。
モンテクリスト伯は、彼らの弱みや悪事を握り、巧妙に権力や地位の座から追い落とし破滅へと導きます。
その途上、メルセデスがかつての恋人エドモン・ダンテスであることに気づきます。
そして、メルセデスの息子が、実はエドモン・ダンテスとの間の子であることが告げられます。
真相を知ったモンテ・クリスト伯は苦悩し、モンデーゴと決闘するのですが・・さてどんな結末が待っているのでしょうか?
「モンテ・クリスト伯」見どころ・感じどころ
「モンテ・クリスト伯」は世界一有名な復讐劇、日本では「巌窟王」として知られています。1900年代にはテレビ映画も含め、アメリカ・フランス・イタリア・イギリスで、10本以上もの作品が制作されています。それだけ面白い物語なんですね!
◆絶望から一転、華麗なる変身へ!
見どころは何と言っても、主人公エドモン・ダンテスの周到に練られた復讐劇です。
孤島の牢獄に囚われ絶望のどん底から一転、隠された財宝により大富豪の伯爵となり、陥れた者たちに反撃するというドラマチックな展開。
また、登場人物たちの人間模様もわが身に擬えて見るべきところです。
主人公と恋人との恋愛、ファリア神父との友情、裏切りへの憎しみと許し、一方、嫉妬・出世欲・野心、誰の胸の内にも眠っている感情であり、高じると怪物となってしまうものです。
物語にはこうした人間感情が入り混じり、主人公と共に泣き、苦しみ、耐え、そして会心の復讐劇へと心が揺さぶられます。
巧みな策略で悪人たちを破滅へと追いつめてゆくストーリーに、どんどん引き込まれてゆき止まりません。
◆ナポレオンと王党派が対立する時代
舞台はフランス革命後の1800年代初頭、王政復古を掲げルイ18世を擁立する王党派とナポレオンを支持するボナパルト派が対立する時代でした。
主人公のエドモン・ダンテスは政治には無関心の商船の航海士でしたが、たまたまエルバ島に流されていたナポレオンから手紙を預かったことで、政争に巻き込まれてしまいます。
ナポレオンは王党派にとっては危険人物、その彼から密書を預かったエドモン・ダンテスもまたその一味として捕らえられてしまったのです。
ダンテスがモンテクリスト伯として再び表舞台に姿を現わすのは、この後20年程が経ってからのことになりますが、この頃はフランス革命の影響で、身分の出自に縛られることなく、努力次第で上を目指せる社会に変わっていました。
「自由・平等・博愛」の精神の下、誰でもが自由に暮らせる世の中になっていたのです。
◆原作者アレクサンドル・デュマについて
日本でも「巌窟王」「三銃士」の小説でよく知られる、アレクサンドル・デュマ・ペールは、19世紀のフランスを代表する小説家で「モンテ・クリスト伯」は彼の最高傑作ともされています。
1840年代の新聞に連載小説として掲載されると圧倒的な人気を博しました。
物語は、少しだけ過去に遡った時代のことなので、フランス革命以降の緊張した空気感を知る多くの人々にとって共感できるものだったのでしょう。
フランス革命後は、共和政治による自由・平等・博愛の理念の下、市民階級が台頭し、旧王制との対立が続いていました。こうした激動の時代を生きたデュマだからこそ「モンテ・クリスト伯」のような波乱万丈な物語も生まれたのでしょう。
歴史背景を知った上で、映画を観ると、物語の世界により深く入り込み楽しむことができるはずです。
★作品のタイトル、モンテ・クトリス伯の名前の由来となったモンテ・クトリス島は、イタリア半島から10キロほど離れたエルバ島から、更に40キロ離れた先の無人島です。
「モンテ・クリスト伯」恩讐の彼方にある希望と再生
「モンテ・クリスト伯」は壮大な復讐劇を描いた作品ですが、その中には復讐と正義、恩讐といった深いテーマが織り込まれています。そして恩讐の先には希望と幸福があるということを示唆しています。
物語では、主人公のエドモン・ダンテスは不条理な禍いに見舞われ、悪人たちへの復讐を一念の想いで実行してゆきますが、恨みを晴らすその過程で、過去の傷が癒されると同時に、復讐の是非に葛藤する彼の中の人間らしい心が見え隠れし、人間の複雑さや善悪についても考えさせられます。
報復は癒しとなるか?
人は誰しもが日々、ささやかな嫉妬やくやしさが湧いてくることがままあります。しかし、一方で許しや寛容の心も持ち合わせています。善良な想いと悪心の間で常に揺れ動いていることは否めません。
人生の途上、大きな試練に見舞われた場合、人は悲しみや絶望に囚われてしまうことでしょう。もしそれが自然災害や不慮の事故であった場合は、天を恨むということになり、そのまま運命として諦め受け入れざるを得ないということになります。天に対抗して報復することなど不可能だからですね。
もしこれが人為的なものによるダメージだったとしたら、加担した人や組織を恨むことになるのでしょう。人と人は天と違って対等ですから、法律でも社会的な批判でも、憎しみをぶつける相手がいて報復することが可能だからです。
しかし、そうして報復すれば、本当に気持ちはすっきりするのでしょうか?怒りは解け心は癒されるのでしょうか?
善良な人ほど苦悩する
「モンテ・クリスト伯」の復讐物語は私たちに問いかけます。
復讐とは? 正義とは? 憎しみを克服するには? 人間としての在り方は?
復讐の鬼となったものの、私刑により人が人を裁くことは、常人、あるいは善良な心を持つ人間ならば尚更苦悩しないはずはありません。
復讐劇の最初は裏切り者への報復を気分よく観ていた視聴者も、モンテ・クリスト伯自身が復讐は正しいことなのかと葛藤し始めたことに同調してくるのではないでしょうか。
主人公の胸中は復讐と正義の狭間で揺れ動きます。そうした苦悩や葛藤の中で、憎しみと復讐に囚われた心は次第に鎮まり、許しが寛容の心を生み、人間性を取り戻していくのです。「モンテ・クリスト伯」の物語は、行きつくところ、幸福への人生再生への物語でもありました。
罪を憎んで人を憎まず
映画ではダンテスがモンデーゴとの決闘に勝利した後、過去の苦しみを乗り越え、メルセデスと息子アルベールと共に新たな未来に向かって歩み出す姿が描かれます。
復讐劇の結末は、希望と再生のメッセージが込められた、現代社会を生きる私たちにも示唆に富む物語です。
自身の内に怒りや憎しみが襲ってきたら、相手の背景や状況を考慮することで、怒りや憎しみの感情を和らげ鎮め、寛容の精神を思い起こしましょう。「許し」もまた自分自身の心の平穏を保ち、平らかな人生を送るために大切なことです。
結論は「罪を憎んで人を憎まず」という心持ちに思い至ります。
「モンテ・クリスト伯」まとめ
はい、壮大な復讐劇でしたね。重厚でありながらテンポ良く、ロマンス、裏切り、脱獄、華麗なる変身と復讐、そして冒険あり活劇ありとお腹が一杯になる映画でした。
絶望から一転、華麗に変身し、悪い奴らをやっつける胸のすくストーリー、とても見応えがあり再視聴したい作品です。
★それでは、またお会いしましょう。Good Luck!