こんにちは、皆さん!中国のドラマ「流光城市」は、20世紀初頭の上海(シャンハイ)を舞台に繰り広げられるラブサスペンスストーリーです。
独特の魅力に満ちた国際都市上海、夜ともなれば光り溢れる魅惑の上海、幻想的でロマンチックな世界に誘い込まれます。繁栄の一途を辿るそのエネルギーやレトロな情景に映えるロマンス、そんな上海の魅力に惹かれる方も多いことでしょう。
今回は「流光城市」が描く上海の光と闇、魅力や歴史、レトロな情景に包まれた流光の世界を、時を超え堪能してみたいと思います。
「流光城市」予備情報
「流光城市」は、2022年の中国TVドラマで、原題は「流光之城」。20世紀初頭の上海を舞台とした全40話のラブサスペンスです。
不運に見舞われ、すべてを失った才色兼備の女性と、富裕な家の御曹司との因縁の出会いと愛憎劇がレトロ情緒たっぷりに繰り広げられます。
【スタッフ】
監督:ジン・チェン ガン・ルー
原作:ミーバオ
脚本:フー・シュエ ウー・ルオイエン
【キャスト】
ジン・ティエン(麗王別姫~花散る永遠の愛)
ティミー・シュー(風起花抄・ハイロイン)
ジン・チャオ(如懿伝・白華の姫・燕雲台)
ハイ・リン(コウラン伝)
シン・ジアドン(昭王~大秦帝国の夜明け)
「流光城市」ざっくりあらすじ
上海のダンスホールで偶然のように出会ったフォン・シージェン(馮世真)と容家の御曹司ジアシャン(嘉上)。
所変わって、上海随一の富豪・容家に家庭教師としてやってきた美しき才媛シージェンはそこでジアシャンと再会します。
パイロットになる夢を抱き、家業に身が入らず好き自由に暮らす長男と妹たちは美しく聡明な彼女とすぐに親しくなります。
しかし実はシージェンは、容家の主人・定坤の悪事による“聞春里の大火”で焼け出され苦境に陥った過去があり、復讐のため悪事の証拠を探すべく容家に入り込んだのでした。そして、同じく定坤に因縁の恨みを持つ、ダンスホールの経営者・七旦那こと孟緒安へ容家の情報を流していたのです。
父親定坤の悪徳商売に息子のジアシャンは同調できず、違法な取引を阻止するためシージェンと共に動きます。
そうするうちに、シージェンとジアシャンは互いに惹かれ合い恋愛感情が生まれます。しかし、復讐する者と復讐される側の家の息子、愛してはいけない相手への恋心は秘められたまま深まってゆきます。
そんな時、ジアシャンの意向を無視して、定坤は有利な商売上の理由でジアシャンに婚約を強いるのでした。その上、ジアシャンの元恋人・日本人の橋本詩織が表れ復縁を迫られます。
一方、法事のためシージェンの故郷へ同行したジアシャンは、盗賊に殺されたというシージェンの父親の当時の調査に協力し始めます。
◆ ◆ ◆
復讐の機会を待っていた七旦那は、競売会場で定坤を標的に殺害しようとしますが、ためらうシージェンによって計画は失敗、定坤は重傷を負うものの一命をとりとめます。
容家を探っていた事実をジアシャン知られたシージェンは、上海を離れようとしますが、駅にジアシャンが現れ、二人は共に列車に乗り込み“北平”で結ばれ幸せな時間を過ごします。
やがて、シージェンの父親の消息が少しずつ解明され、定坤が関与している疑惑が浮上、そこへ定坤が聞春里に放火し不正に土地を収奪したという記事が新聞に掲載され、容家に暗雲が立ち込めてきます。
ジアシャンは長男として家業を継ぎ、違法なアヘン取引を止め正しい方向へ商売を導き、家族を守るべく力を尽くします。
しかしやがて、定坤によるおぞましい過去の事件が明かされ、あがく定坤は窓から転落死し、容家は騒然となり、ついに崩壊してしまいます。
シージェンの恨みは晴れたもののジアシャンの容家は崩壊、この後ジアシャンはパイロットになる夢を追ってゆくのですが、はたして二人の愛の行方は・・
「流光城市」見どころ・感じどころ
「流光城市」というタイトルに出会った時、少々取っつきにくく、どんなドラマなのか???でした。中国の原題は「流光之城」。城は中国語で都市を意味するので、流れる光の都市、つまり繁栄する国際都市上海のイメージを表すものでした。
◆国際都市・上海のレトロな風景
20世紀初頭の上海は貿易港として賑わい、街にはレストランや百貨店が建ち並び、夜ともなればダンスホールに集う人々、まさに光に溢れた歓楽の街だったのです。
ドラマはそうした華々しい上海のダンスホールから始まります。街並みや建物、国際色溢れる洋館や家の内装、衣装や小道具まで当時の如く表現され、最初からレトロな世界観に引き込まれます。
しかし、いつの時代もどこの国でも同じように、違法に稼ぐ悪徳商人がいるのですね。そしと富裕層の華やかな暮らしの一方、路地裏では貧しい暮らしに甘んじる者たちが大勢いる、というわけでドラマでも上海の光と影の部分がしっかり描かれるので見ておきたい部分です。
◆美男・美女のルックスに魅了される
主人公の一人、ジアシャンを演じるのは、日本でも人気のティミー・シューさん。端正な容貌にスタイルもスラリとルックス抜群!三つ揃えのスーツ姿は見惚れるばかりの麗しさです。
ヒロイン、ジン・ティエンさんは、ハリウッド作品への出演でも知られる人気女優さん。ドラマでは真っ白なお顔で人形のような愛らしさがある一方、役柄でしょうか、ちょっとクールで無表情な能面のような美しさもありました。チャイナ・ドレスもお似合いでした。
お二人ともダンス経験豊富だそうで、ダンスシーンはさすがに素晴らしい!見逃せない部分です。
正体不明の七旦那こと孟緒安を演じたのはジン・チャオさん。如懿伝の凌雲徹役とは全く異なる雰囲気で、改めて演技派の素敵な男優さんだと分かりました。
皆さんそれぞれ「流光城市」にピッタリの役柄でした。
★日本人役の和服の着こなしがいまいちですかね・・
「流光城市」の舞台となった魔都・上海
中国東南沿海部の長江デルタに位置する上海は、商業・工業・金融・貿易・交通などの中心地として、中国の経済発展の象徴として高い経済成長を続けてきた国際都市です。「流光城市」の舞台となった20世紀初頭の頃の上海はどのような都市だったのでしょうか、当時の歴史を知ればドラマをより一層おもしろく観ることができますね。
◆20世紀以前/植民地としての上海◆
1842年、清とイギリスのアヘン戦争が終結し南京条約により上海の港が開港すると、これを契機にイギリス・フランス・アメリカ・ドイツ・日本も租界と呼ばれる居留地域を設け、それぞれが自国の領事館を置き移民が増えてきます。
街路や上下水道などインフラが整った地域には主に外国人や富裕層が住み、外周の地価の安い所には中国人の住む中国租界があり、ここは治安が悪く外国人はあまり立ち入ることはありませんでした。
これら各国の租界地域が集合した上海は、いずれの国にも帰属しない共同の自由都市となり、各租界から選ばれた参事により自治が行われていました。
当初三千人程だった人口は20世紀に入る頃には数百万人と膨れ上がり次第に過密都市となってゆきます。
◆20世紀/享楽の都・上海◆
20世紀に入ると、大型デパートが次々に進出し遂には摩天楼も出現しました。ヨーロッパ様式の建物が並び、路面電車が走り、街路灯が灯りました。ショーウィンドウには流行のドレス、ダンスホールや茶館、映画館など歓楽施設に溢れました。
1930年代に入ると、ハリウッド映画やジャズなどが流行りイギリスが中心だった上海は、勢力図が変わり「東洋のニューヨーク」と言われるほど街はアメリカンナイズされ、深夜まで賑わう光の都市、享楽の街となっていました。
外面はこうした繁栄の一方、影の部分ではアヘンの輸入が盛んで、そのため苦しむ人も大勢いたのです。1908年にようやくアヘンは法的に廃止されましたが、しばらくは闇取引が続きました。
◆20世紀/上海の廃退と復活◆
1937年(昭和12年)、盧溝橋事件により発生した日中戦争は、その後の第二次世界大戦とかぶり、更に1941年、太平洋戦争の勃発と共に上海共同租界は日本軍により接収されてしまい、イギリス・アメリカの両租界は上海から撤退しました。
1945年(昭和20年)日本軍敗戦と同時に時の中国政権により租界は接収され、100年に及ぶ租界の歴史は終焉を迎えます。
その後中国は内戦が続き、1949年、中華人民共和国が成立すると外国資本は香港に移ってしまいます。上海には新しい資本が入ることもなく工業都市として細々と生き延びていたのです。
1960年代には文化大革命での悪影響を受け、文化的にも上海は荒廃の一途を辿ります。
しかし1980年代、政府の改革開放政策で上海の再開発が求められ状況は一転しました。再び外国資本が流入し貿易が盛んとなり、2010年には世界189カ国が参加する上海万博が開催され、以降、商業・工業・観光においても目覚ましい発展をもたらし上海は復活を遂げたのです。
◆日本と上海の関係◆
20世紀初頭の上海は、重要な歴史の変革期でした。その時代において、日本と上海との関わり合いは非常に深く、対馬・長崎・横浜などの港町から多くの企業や商社が上海に進出しました。日本政府は、日中戦争などの影響で上海に対する経済的・政治的関与を強め、租界の設立や権益の保護に力を入れました。
上海は西洋と東洋の文化が混ざり合い多様な人々が交流する都市であり、日本人との交流も盛んで、日本人もまた上海で銀行家や実業家として成功を収め、文化人や外交官も活躍しました。
当時の上海を知る手掛かりとなる文芸作品をチェックしてみると、大正10年(1921年)に中国を旅した芥川龍之介氏の著作【上海遊記】では、上海のエキゾチックな魅力や異文化に触れる新鮮な体験が描かれています。
昭和3年(1928年)に上海に渡った横光利一氏の著作【上海】では、租界という異郷に暮らす日本人居留民との出会いや、東洋と西洋の文化の摩擦など、上海の暗い部分も著わされています。
どちらも異国のエキセントリックな感覚が描かれ、繁栄する享楽都市、故に危険な魔都のイメージも併せ持つと、日本の文筆家の手により、当時の日本人はこのような上海像を思い浮かべていたのでしょうか・・
◆ ◆ ◆
19~20世紀にかけて上海は貿易を介して国際都市として大きく発展し、文化や政治の交流に影響を与えてきました。その過程で、主要国と友好関係や協力関係が築かれ共存共栄し、結果として高度経済成長を続け、現在も尚、世界有数の国際都市として繁栄し続けています。
「流光城市」まとめ
はい、20世紀初頭の上海を舞台にしたラブサスペンスドラマ、美男・美女が繰り広げる禁断の恋と、愛憎渦巻くストーリー、そして主役二人のダンスシーンがとっても印象的で、堪能しました!
リアルな愛憎劇でありながらドロドロ感は無く、むしろ、魔都とも呼ばれた流光の都市上海ならではの幻想的でロマンチックな世界に包まれました。美男・美女の恋愛にもうっとり、夢の中を旅をしてきたような心持ちで、The Endとなりました・・
同時にドラマを通じて、また記事を書くに当たって、当時の上海について、いろいろと学べたことは収穫でした。日本は明治・大正・昭和にかけて、日清・日露戦争、ついで第一次世界大戦に参戦、そして第二次世界大戦と戦争ばかりしていたんですね。今でも日本は軍国主義と言う人がいるのも無理ないことです。いかにとやせん・・
★それでは、またお会いしましょう。Good Luck!