「風と共に去りぬ」映画史に残るロマンと壮大なドラマ

風と共に去りぬタイトル

こんにちは、皆さん! 1936年に発表されたマーガレット・ミッチェルの歴史小説を原作とした映画「風と共に去りぬ」は、時代を超える名作として世界中で多くの人々の心を捉えてきました。
本作は、南北戦争の時代を背景に、美しく激しい気性の主人公スカーレット・オハラの波乱万丈な人生が描かれます。

今回は、彼女の強い意志と逞しい情熱、愛と失望の交錯する物語「風と共に去りぬ」の魅力や、作品が伝えるメッセージについて考察してみたいと思います。

それでは、アメリカ南部の豊かな風景と、永遠のヒロイン・スカーレットの物語の世界へ旅立ってみましょう。新たな価値観や自己発見、そして感動を共有できれば幸いです。

目次

「風と共に去りぬ」予備情報

「風と共に去りぬ」は1939年のアメリカ映画。物語の背景は南北戦争(1861年~1865年)の時代。アメリカ南部を舞台に激動の時代に翻弄されながらも、強く逞しく気丈に生き抜く美しいヒロイン、スカーレット・オハラの半生と、周囲の人々の姿が壮大なスケールで描かれます。
公開直後から大ヒットし、第12回アカデミー賞の10部門を受賞し、映画史に残る不朽の名作となっています。

【スタッフ】

監督:ヴィクター・フレミング
脚本:シドニー・ハワード
原作:マーガレット・ミッチェル
音楽:マックス・スタイナー

【キャスト】

スカーレット・オハラ役:ヴィヴィアン・リー
レット・バトラー役:クラーク・ゲーブル

★YouTube「風と共に去りぬ」Pickup

「風と共に去りぬ」ざっくりあらすじ

舞台は1860年代のアメリカ南部ジョージア州。奴隷制度を巡る南北戦争が始まった頃のことです。
タラの町の大地主オハラ家の長女スカーレットは美貌の持ち主でしたが、勝ち気で気まま、メイドのマミーも手を焼いていました。

そんな折、彼女が思いを寄せる幼馴染みのアシュレーが従妹メラニーと婚約したのです。メラニーはスカーレットとは対照的な性格、しとやかで優しく、純真・誠実な女性でした。

風と共に去りぬ/イメージ

頭にきたスカーレットは分別を失い、悔し紛れにメラニーの兄チャールズと結婚することに。しかし、チャールズはまもなく戦場に赴き病死、スカーレットは長男ウェードを出産して後、17歳で未亡人となってしまいました。

戦争の影響で男たちは出征し、スカーレットはメラニーや叔母たちと共にアトランタで暮らすようになります。そこでスカーレットは、軍事物資で富を得たやり手の紳士レット・バトラーに出会います。ダンスパーティに喪服姿で現れたスカーレット、周囲の陰口などものともしない破天荒な振る舞い、レットは美しく気丈なスカーレットに強く惹かれてゆきます。

やがて南北戦争は益々激しくなり、スカーレットの運命もまた激動の渦に翻弄されてゆくのでした。

スカーレットはレットの不遜な態度に怒りと嫌悪を覚えながらも、戦争の混乱の中を渡り歩く彼の実力と強さに惹きつけられてゆきます。

南軍は北軍に苦戦を強いられ、遂にアトランタも陥落寸前、スカーレットは産後間も無いメラニーとその赤ん坊やウェードを抱えレットに助けを求めます。レットは炎上するアトランタからスカーレットたちを馬車で脱出させ、タラへの帰還を助けます。

命からがら故郷へ戻ってくると、タラの地はほとんどが焦土と化していました。母は病死、父は精神を病み、農園は荒廃していました。絶望に打ちひしがれるスカーレットでしたが、オハラ家の当主となったスカーレットは荒廃したタラの大地を見据えながら誓います。どんな苦境にあっても泣かない、飢えない、故郷を守ると。

時は流れ、タラの税金を払うため金策に奔走するスカーレットは、レットの助けを求めてアトランタに赴きます。しかし金策が失敗すると、金目当てに妹の婚約者フランクを奪い取り結婚、手段を選ばず財を成してゆきます。
そうした悪辣な行いが難民からの襲撃事件を引き起こし、夫フランクは銃撃され死亡してしまいます。

独身となったスカーレットに、レットは熱烈に求愛し、ついに結婚に至ります。
しかし、スカーレットは復員してきたアシュレーへの未練を断ち切れず、レットはスカーレットを愛しながらも、彼女のわがままや冷淡な態度に苛立ちを募らせ、夫婦仲は冷え切ってゆきます。

そんな中、落馬事故で溺愛していた娘ボニーを突然失ったことで、スカーレットとレットの唯一の絆は断たれ、更に、戦乱を共に生き抜いてきたメラニーが流産で命を落としてしまいます。スカーレットは、恋敵として憎んでいたメラニーでしたが、本当は誠実な彼女を頼りにしていたことに気付きます。
また、メラニーからレットの自分への深い愛情を知らされ、本当に愛しているのはアシュレーではなくレットだったことに気づかされます。

スカーレットはレットに心から謝罪し愛を打ち明けるのですが、時既に遅く、レットの冷えた心を取り戻すことはできませんでした。スカーレットに失望したレットは彼女のもとを去り故郷へ帰ってゆくのでした。

自分を理解し愛し支え続けてくれたレットとメラニーを失い孤独となったスカーレット、しかし気丈な彼女は明日に希望を託し、再び歩き出すのでした・・

「風と共に去りぬ」見どころ・感じどころ

風と共に去りぬ/イメージ

今尚愛され続ける映画「風と共に去りぬ」。壮大なスケールと深い人間ドラマ、そして勇気と希望と感動を与えてくれる名作です!

◆南北戦争時代・動乱のアメリカ南部

「風と共に去りぬ」の舞台は、南北戦争(1861年~1865年)とその前後の時代にかけてのアメリカ南部、ジョージア州アトランタです。物語の背景には、奴隷制を維持したい南部諸州と、奴隷解放を謳う北部諸州が対立し、最終的に北部が勝利を収めます。
物語は、戦争の惨禍により崩壊する社会や動乱の時代を生き抜く登場人物たちの人生が描かれます。

奴隷を使い大農場を経営してきた富裕層は南北戦争に敗れたことで没落し、奴隷制廃止による激変した世界を生き抜くことを余儀なくされました。無秩序な戦後の混乱の中、レットは巧みに、スカーレットもまた苦闘しながら再建に立ち向かいます。

◆主人公スカーレットの愛と成長の物語

甘やかされ育てられた大農場の娘、わがままで利己的なスカーレットでしたが、戦争と再建の苦難が、美貌を誇る彼女なりの知恵と勇気を育て、強く逞しく精神的にも変貌してゆく姿が描かれます。時に非情な決断をもするビジネスウーマンを貫き富を築き上げてゆくのでした。

一方、恋愛においては、情熱的で激しい気性のスカーレット、自らの恋は思い通りにいかず、結局レットの熱心な求愛に応えてレットとの結婚に至ります。レットは、スカーレットのすべてを包み込み愛を注ぎますが、盲目的にアシュレーを想い続けるスカーレットは、彼の献身的な愛を受け入れようとしませんでした。
スカーレットの頑なさと誤解が積み重なり、ついに二人の波乱に満ちたロマンスに破局の時が訪れます。

◆美貌のヒロインと伊達男・名優の共演

スカーレット・オハラ役を演じた女優はヴィヴィアン・リーさん。その強烈な魅力と美貌はまさに本作のヒロインに適役。まゆをつり上げる独特の表情、美しいですね~。
気丈にして貪欲、強い意思とプライドを持ち困難には決して屈しない精神力を併せ持つ。極めて自己中心的なエゴイストでありながら、しかし、凄い美人であるがゆえに、異性だったら許せちゃうし、同性だったら自分もそんなふうに生きてみたいと思うほど、引き付けられるものがあります。

レット・バトラー役を演じたクラーク・ゲーブルさん。ハリウッドのキングとも呼ばれていたそうですが、納得です。恰幅がよく立派な風采、存在感があります。レット・バトラーはその機知と野望で軍事物資を扱い巨万の富を築いたやり手の事業家、紳士というより色気も漂う伊達男と言った方が似合うようです。

助演として、スカーレットと対照的に心優しく純真で誠実な女性メラニーや、スカーレットが想いを寄せ続けるアシュレー、忠実な黒人奴隷のマミーなど、物語に情愛や敬愛、深い人間味を感じさせてくれる登場人物です。

「風と共に去りぬ」から汲み取る人生哲学

風と共に去りぬ/イメージ

アメリカ史の大きな転換点となった南北戦争を背景に、苦難の時代を生き抜き、愛し、成長する物語「風と共に去りぬ」は、私たちに何を伝えてくれるのでしょうか。

主人公スカーレット・オハラは、非常に自己中心的な女性でしたが、戦争による時代の混乱の中を生き抜くため、美貌を武器ともして、次第に知恵や独立心が身に付き、精神の強さが磨かれてゆきます。彼女の生き方は、決して諦めない強い意志と自己再生の象徴と言えるものでしょう。

スカーレットは初恋の人アシュレーを長い間想い続けますが、最終的にはそれが執着であったことに気づき、本当に彼女を愛し理解してくれたレットを失った後になって自分の過ちに気付くのです。
本作は、真の愛の重要性や自己理解・自己再生の必要性を教えてくれるもので、真の幸せを見つけることの大切さが示されます。

一方、彼女の生き様は、大切な人を守るために手段を選ばない人間の本質が浮き彫りにされています。「たとえ盗みをしても、人を殺してでも、家族を飢えさせない」との強い決意は、社会倫理や道徳を飛び越えたもので、きれいごとでは生きてゆけないと言い切るパワフルな人間力は、良識社会に浸かっている私たちを刺激します。

戦争がもたらす人々の苦しみや絶望、愛する者を失い、財産を失い、希望をも見失ってしまいます。しかし、主人公スカーレットは決して諦めず、強い意志と不屈の精神をもって故郷の復興を追求します。

スカーレットにとって、故郷タラの大地は単なる土地としての価値のみならず、自己のアイデンティティであり、心の拠り所である揺るぎない「聖地」なのです。故に、その聖地タラが戦争によって荒廃し、一族が困窮する中、スカーレットは故郷を復興させるべく知恵と力の限りを尽くします。

スカーレットの生き方は、まさに、戦争によって壊されたものを修復し復興し、平和を取り戻すために尽力する人々の象徴とも言えるものでしょう。
物語は戦争により崩壊した町や荒廃した大地の中にあっても、前向きに生きることの重要性が示され、希望を持ち続け、平和を追求する力強いメッセージを伝えているのです。

当時、アメリカ南部では広大な土地で大規模農場が営まれ、奴隷制度の環境下、黒人や先住民が労働者として働かされていました。劇中、スカーレットの家でも、白人である主人と労働者の上下関係は厳然としてあり、不条理、差別、偏見は日常の如く浮き彫りにされます。

映画に登場する黒人キャラクターたちの視点からも奴隷制度の影響が描かれます。特に、スカーレットに仕えるマミーの存在は象徴的で、黒人の苦悩を表す一方、その献身と強さは不条理に立ち向かう姿勢を示しており感銘が与えられます。
本作では、奴隷制度への深い追求はなされていませんが、物語は現代にも通じる差別や偏見、不条理などについて考えさせられ、このような問題に対する理解と共感が促されます。

南北戦争戦後は、旧南部社会が崩壊し新たな価値観が誕生し大きな変化が訪れます。スカーレットはこうした激動の時代に直面しながらも、困難に立ち向かい、生き抜く力強さを見せます。その原動力となったのは、生まれ育った故郷タラの大地と、愛する人々への想いでした。

スカーレットは多くを経験し、また喪失しますが、彼女の前向きな姿勢は変わりません。どんなに時代が変わろうとも、スカーレットの不屈の精神と生きる情熱は揺るぎません。これが作品全体から受ける感動であり普遍的なテーマなのです。

本作「風と共に去りぬ」は教えてくれます。時代は移り変わるもの、そして例え困難に遭遇したとしても、未来に希望を持つ姿勢が大切なのだということを。

そしてラストシーンに残されたメッセージ「Tomorrow is another day」。この言葉をどのように受け取るかは人それぞれ、「明日は明日の風が吹く」「明日はまた新しい日」。

今も昔も、厳しい現実に立ち向かう者たちにとって、スカーレットは胸がすくようなキャラクターです。
スカーレットに自らを重ね元気をもらうことができるかもしれませんね。

「風と共に去りぬ」まとめ

はい、本作はアメリカ南部の白人富裕層の繁栄と衰退を描いた壮大な物語、ヒロイン・スカーレットの理不尽なほど強引な強さと生き様に圧倒されました。彼女のハチャメチャながら逆境に立ち向かう勇気と不屈の精神は、現代を生きる私たちにも元気づけられるものがあります。

また、登場人物とその複雑な心情にも共感を覚えるものがあり、勇気と希望が与えられる映画、やはり名作と言えます。

南北戦争という時代の風に吹かれて白人たちの栄華も消え去ったことが示されました。いつの時代も人生は山あり谷あり、今日は逆風に耐えつつも、明日は良い方向へ風向きが変わるかもしれません。
今どんな困難な状況にあっても、明日は明日の風が吹き、明日はまた新しい明日がやってくるのです・・

★それでは、またお会いしましょう。Good Luck!

本ブログはSWELLを使用しています
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この記事を書いた人

居所地:日本の中央山岳地域で田舎暮らし
映画・TVドラマ大好き人間
古代ロマン・スピリチュアル小説ファン
Pen name:東岳院展大
Blog nickname:福徳星人

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